じぃん生活を体験してみました!

お寺に泊まろう、お寺で話そう。

今回で6回目の開催となる「東本願寺に泊まって学ぶ親鸞講座」。
一見ちょっと難しそうなイベント名ですが、お寺や親鸞聖人にはじめてふれてみようと思う人を対象にした講座なんです。
大きなお寺に泊まるなんて普段できることではないですし、お寺の生活体験ってちょっと興味ありますよね。

具体的にどんなことをするの?と、不安な点も多いはず。
そこで今回、そんな不安を解消すべく、2日コースの内容を体験レポートとして参加者目線でまとめてみました。
興味はあるけど、なかなか申し込むまでに踏ん切りがつかない…
そんな方の参考になればいいなと思います。

※本講座には3日コースと2日コースの2種類がありますが、今回は2019年4月に行われた2日コースの様子をお伝えします。

レポートするのはこんな人

フリーランス WEB 関係 33 歳 京都市在住。今回は夫婦で参加。

東本願寺に泊まって学ぶ親鸞講座〈初日〉

12:30  集合・受付

お買い物広場前

集合場所は東本願寺境内にある「お買い物広場」という総合案内所。行ってみると「東本願寺に泊まって学ぶ親鸞講座受付」と書かれたプラカードを持った職員の方がお出迎え。 「受付をしますので中へどうぞ~」と促され、中へ入ります。

奥に休憩コーナーには、すでに今回の講座の参加者のみなさんがキャリーケースやバッグを持って集まっていました。
挨拶をしつつ、職員さんに氏名を伝え、参加費を現金でお支払い。クレジットカードは使えません。
受付終了後、職員さんから簡単な挨拶があり、続いて「◯◯さんはA 班、◯◯さんはB 班です」と班分けとお部屋の案内があります。

東本願寺境内

そして私たちが日程を過ごす同朋会館へ移動。東本願寺境内の南側にあります。

和敬堂

「同朋会館」「和敬堂」と書かれた大きな提灯がお出迎え。

申込後、メールで送られてくる申込受理通知書に集合場所や持ち物、注意点、境内案内図があるので安心です!

12:40  入館

2018年に改修工事を終えリニューアルしたという同朋会館。

館内はどこも綺麗で清潔感があります。
個別のロッカーが完備され、ハンガーもあり使いやすい。実は当日入った際のお部屋の写真を撮り忘れてしまい、別の日に撮影させていただいた資料写真になるのですがお部屋はこんな感じです。

今回は夫婦で参加させていただいたのですが、希望して二人同室に。
相部屋での「雑魚寝」が苦手な人は個室を選ぶこともできます。
でも、雑魚寝が名物らしく、雑魚寝を体験された方は「大人の修学旅行みたいで楽しかったよ」と言われてました。
※雑魚寝は、もちろん男女別です。

荷物をおいたら班の集合場所の201の大部屋へ。
班のメンバーが揃ったところでこの班担当のお坊さんから簡単な挨拶と自己紹介。私達の班を担当してくれるのは普段岐阜のお寺の住職をしている三島さん。イケメンです。
ここで日程表・名札・勤行集(一般的にお経の書かれている本のこと)が配布されます。

13:20  全体オリエンテーション・館内見学

再び部屋を移動して、東講堂にやってきました。ここでB 班の方、職員の方たちと全体でのオリエンテーションとなります。
ちなみにですが、お内仏(仏壇)のある部屋へ入る際は一礼をしてから入ります。(食堂に入る際にも一礼します)

まずは同朋会館の職員の方々から自己紹介。若い方がほとんどで、皆さんとても気さくで明るい雰囲気。続いて参加者の自己紹介。今回の参加者は14 名。男女比はほぼ半々でした。出身地を聞いていると日本各地から参加者が集まっているのがわかります。京都からの参加者は自分たちだけでした。

この後は班別に別れ、館内を案内していただきます。配られた日程表にある、館内地図と照らし合わせながら見学。館内で特に印象的だったのは、このカフェスペース。温かいもの冷たいもの、色んな飲み物が無料で楽しめます。

14:00  班別オリエンテーション

この日は天気が良くて暖かいので、バルコニーで班別オリエンテーションをすることに。

それぞれ簡単な自己紹介は済んでいますが、話していると「愛するペットの死がきっかけ」「後輩指導に役立つことはないかと全国各地のお寺の宿泊体験に参加している」など皆さんそれぞれ思うところがあって今回の参加に至ったとのこと。突き詰めると出てくる疑問が「浄土ってなんなのか」「死んだらどうなるのか」ということのようです。
普段そんな話を見ず知らずの人と真面目に会話する機会はほぼないのではないでしょうか?

15:20  御堂参拝

まずは阿弥陀堂にて手を合わせます。
中央にいらっしゃるのはご本尊の阿弥陀如来。職員さんが解説してくれます。

続いて御影堂。こちらには親鸞聖人の御真影が安置してあります。再び職員さんがわかりやすく解説してくださいます。
写真では内装の見た目の違いがわかりにくいですが、実際はかなり違いがあります。

※両堂内は通常は撮影禁止です。今回は特別に許可を取って撮影させていただきました。

16:00  法話〈1〉

同朋会館に戻り、筆記用具を持って法話室へ向かいます。 法話室にもお内仏があるので、一礼して入室。

今回法話をしてくださるのは、北海道の金石講師。
語り口が柔らかく、時折ユーモアを交えて話してくださるのいつの間にか集中して聞いてしまいます。
「仏教」、そして「真宗」が何であるかを切り口に、親鸞聖人の教えを説いてくださいます。

17:20  おつとめ体験

法話の後は、全体オリエンテーションを行った東講堂に向かい、おつとめ体験です。おつとめは簡単にいうと朝と夕方に行う読経です。

真宗大谷派の勤行を職員・スタッフの方がたと一緒に、細かいところは気にせずにまずはやってみましょうという感じでスタートします。読む箇所が変わる際は「◯◯ページをお開きください」と案内があり、また勤行本にもしおりが挟んであったり印がついていて、すぐそのページが開けるようにしてあるので安心です。

「な~むあみだ~ぶ~」

…声を出したら、お腹が空いてきました。

18:00  夕食

夕食はA班が当番になり、準備のために先に食堂へ入ります。

入り口の前の黒板にはメニューとカロリーまで書いてあります。
準備と言っても、お膳はほとんど出来上がっているので、することはご飯やお味噌汁をよそうなど簡単な作業です。
こういう作業も大人になると滅多にしませんからね、学校生活に戻ったようで楽しく感じます。

食堂の壁に掲げられた食前の言葉を言っていただきます。

「み光のもと われ今さいわいに この浄き食をうく いただきます」

本日は野菜の煮しめと梅とろろ。シンプルなメニューですが、大変美味でございます。 実は職員さんによると、普段は丼物などガッツリしたメニューで、今回の日程はたまたま祥月命日の期間のため精進料理になっているとのこと。 しかし精進料理とはいえしっかりした味付けで、結構ボリュームもあるので大満足です。
ちなみに申し込みの際に事前にお伝えしておけば、アレルギーなど対応してもらえます。

食後の言葉で終わります。「われ今 この浄き食を終わりて 心ゆたかに力身にみつ ごちそうさまでした」

19:00  法話〈2〉

さて本日二回目の法話です。食後ですから、抗えない眠気との闘いです。窓の外はすっかり夜となりましたが、今日の日程はもう少し続きます。

気がつくと時間があっという間に過ぎていました。

20:00  語り合い法座〈1〉

窓の外はすっかり夜となりましたが、今日の日程はもう少し続きます。

法話を聞いた後は、班ごとに別れて語り合い。「皆さん、法話を聞いていかがでしたか?それぞれお持ちだった疑問は何か変わりましたか?」と三島さん。
意見を言い、みんなで考え、また意見を言います。「浄土や極楽とは」「死について」ということに特に焦点が当てられ、なかなか白熱した語り合いに…。

気がつくと時間があっという間に過ぎていました。

21:00  入浴

後は就寝の準備です。
お風呂は食堂と同じく和敬堂にあるので、タオルや着替えなどを持って向かいます。

写真は別の日の昼間に撮った資料写真ですが、夜になると雰囲気が変わり、まるで温泉旅館のお風呂のようでした。当日タイミングが良かったのか入っているのは私一人の貸切状態。 個人的に同朋会館の隠れた名所と言っていいと思っております。

22:00  就寝

夜中水分が欲しくなるので、カフェスペースの自動販売機にペットボトルのお水を買いに行ったら、職員さんやスタッフの皆さん、他の参加者の方がたが数人が集まってゆったりとお話をされていました。あのスペースは本当にゆったりしていて良い空間ですね。

さて部屋の押入れの布団をセットして、早起きが苦手な私は早々に就寝です。充実した日程に体は疲れていたようで、すぐ眠りに落ちることができました。

東本願寺に泊まって学ぶ親鸞講座〈二日目〉

6:00  起床・洗面・部屋清掃

「おはようございます。起床の時間です」という館内放送が流れ、半分眠った状態で洗面に行きます。そして布団のシーツやカバーを剥がし、所定の回収場所へ。ササッと清掃も

7:00  御堂参拝(朝のおつとめ)

朝のキリッとした冷たい空気の中、昨日のように阿弥陀堂、御影堂の順に向かいおつとめをします。ただ昨日と違うのは、大勢のお坊さんが前にいてものすごく厳かな雰囲気であるということ。

そしておつとめのスピードが早かった。
勤行集のどこを読んでいるのか迷子になるくらい早い。(そばにいた職員さんがこそっと教えてくれました)
しかし静かな堂内に響く読経の声が、「あぁ、お寺にいるんだな…」ということを実感させてくれました。

8:00  朝食

メニューは焼き鮭とれんこんのきんぴら。
なんてことない定番の朝ごはんが寝ぼけた体をみるみる元気にしてくれます。本当に美味しい。

9:00  境内清掃

動きやすい服装に着替えて、次は境内清掃です。
職員の皆さんに連れられて外に出ます。
境内とひとことに言っても広いし、一体どこを清掃するのか…

まさかの御影堂門!

通常は非公開なのでテンションが上がります。
急勾配の階段を登り、楼上にたどり着くといつもは下から見上げている烏丸通の街路樹や噴水が見えました。
場所を変えると広い境内も見渡せます。普段見れない眺め抜群の景色に感激です。
「写真も撮っていただいていいですよ」
との許可もあり、みんな持参したカメラやスマホでパシャリ。

「真宗本廟」と掲げられた扁額。

中には釈迦三尊像が安置されており、しばし解説に耳を傾けます。お話を聞いた後はいよいよ清掃開始。シンプルに堂内の雑巾掛けです。
結構広いので大変ですが、みんなで手分けすればあっという間にバケツの水が真っ黒に…

10:00  法話〈3〉

さて、この講座の日程も大詰めです。
法話の終了後には質問も受け付けられ、金石講師の解説にも熱が入ります。

10:40  語り合い法座〈2〉

最後の法話を聞き終え、再び語り合い法座の時間です。
またまた三島さんの提案で、A班はカフェスペースで飲み物をいただきながらの語り合いとなりました。抱えていたそれぞれの疑問が全て解決したわけではないのですが、自分の中で納得できた部分がみんなあるようです。

最後に今回参加してみての感想とお礼を述べ合って、少々予定時間を過ぎての終了。

12:30  昼食~解散

今日はお弁当のようなお膳が並んでいます。こちらでいただく最後の食事をいただきます。

蓋を開けてびっくり、色鮮やかなお料理が並んでいました。この講座で一二を争う勢いのテンションの上がりようです。
かき揚げとお野菜の天ぷら、胡麻豆腐、彩り綺麗な炊き合わせ等に筍ご飯とにゅうめんまで。
こちらは通常メニューとは違う「合掌御膳」というもので、団体参拝等で予約しないとお目にかかれない特別なお膳です。
お味は言うまでもなく絶品です。そしてボリュームも結構あるので、満腹…
周りの方たちとの話も一層盛り上がりました。

さいごに。

私自身は、仏教について、ちょっと興味があるなーという程度にぼんやりとした想いで参加してしまったのですが、他の参加者の方々の話を伺うと、身近なひとの死に触れたり、仏教について興味を持ったりと、各々何か疑問を抱えて今回の講座への参加を決めたようでした。

この講座は難しい講義があるわけでもなく、座禅をするわけでもなく(禅宗ではないので当たり前ですが)仏教にちょっと興味を持った方が東本願寺というこの空気感を通じて少し考えてみる時間を共有する場なんだと思います。
参加している人も多分同じように少し興味がある方なので、普段話題にすることのない仏教に関する話やそれこそ死に関する話を「仏教ではこんな話がありますよ」といった形で現役のお坊さんを交えてすることができます。

清潔な宿泊施設で活動できることもあり、とても充実した日程となりました。参加できて良かったと思います。
ちなみに二泊三日の日程は、内容はほぼ同じで今回より濃い法話・語り合いになるとのことでした。
はじめてお寺や親鸞聖人の教えに興味を持った方、ぜひ参加してみてください。どんな動機であれ、きっとあなたにとって様々な刺激を受ける貴重な機会になると思います。

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